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歯医者の麻酔いつ切れる?|食事・しびれの目安を歯科衛生士が解説

歯医者の麻酔はいつ切れるのか気になる方へ。歯科麻酔の種類やしびれが切れ始める時間の目安、食事・飲酒の注意点を現役男性歯科衛生士が分かりやすく解説したブログアイキャッチ画像

「歯医者の麻酔っていつ切れるの?」「ご飯はいつから食べていいの?」

治療を終えて、口の中がふわふわ・じんじんする感覚のまま歯科医院を後にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

結論からいうと、麻酔の種類にもよりますが、現場の感覚としては2〜3時間ほどで痺れが和らぎ始める患者さんが多い印象です。ただし、これは添付文書に明記された公式な数値ではなく、あくまで臨床現場での実感であることを先にお伝えしておきます。

この記事では、麻酔の種類ごとの使われ方や、食事・飲酒・入浴・運動の注意点、子どもならではの注意点まで、現役歯科衛生士の視点から解説します。


麻酔の種類と、現場で使われている場面

歯科で使われる麻酔には、大きく分けて「表面麻酔」「浸潤麻酔」「伝達麻酔」の3種類があります。それぞれ、現場でどんな場面に使われているか、実際の様子を紹介します。

表面麻酔

歯ぐきの表面に薬剤を塗って感覚を鈍らせる麻酔です。僕の現場では、もうぐらぐらして抜けそうな乳歯を抜くときに、表面麻酔だけで対応することがあります。日本歯科医師会の解説でも、乳歯がぐらついてすぐに抜ける状態であれば、表面麻酔のみで抜歯を行う場合があるとされています。

浸潤麻酔

歯ぐきに直接注射する、いわゆる「歯医者の注射」のイメージに近い麻酔です。僕の現場では、表面麻酔をした後の虫歯治療、SRP(歯石除去)、ブルーラジカル治療、根管治療で痛みが出ているときなど、幅広い場面で使われています。ブルーラジカル治療についてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。

伝達麻酔

神経の根元付近に麻酔薬を作用させることで、口唇や舌を含む広い範囲によく効く麻酔です。僕の現場では、親知らず(智歯)の抜歯で使われているのを見てきました。日本歯科医師会の解説でも、下顎の奥歯は麻酔が効きにくいため、浸潤麻酔に加えて伝達麻酔を用いることがあると説明されています。


麻酔はいつ切れる?公式な情報と現場の感覚

ここが今回一番お伝えしたいポイントです。

歯科で使われる麻酔薬(リドカイン塩酸塩)の添付文書を確認すると、「作用持続時間は◯時間」という具体的な数値は明記されていません。記載されているのは、「作用持続時間はプロカイン塩酸塩よりも長く、アドレナリン添加によりその作用は増強される」という定性的な説明までです。

つまり、「浸潤麻酔は◯時間」「伝達麻酔は◯時間」という数字は、公式なエビデンスというより、麻酔の量・部位・体質による個人差を踏まえた、現場の経験則としての目安だということです。

その上で、僕自身が患者さんに伝えている目安をまとめました。

麻酔の種類現場でよく説明する目安
表面麻酔数十分〜1時間程度
浸潤麻酔約2〜3時間
伝達麻酔約2〜3時間(長めに感じることもある)

※あくまで目安です。個人差があります。

「思ったより長く残っている」と感じたら、無理に判断せず歯科医院へ相談するのが安心です。


実体験|親知らず抜歯で麻酔が切れた瞬間

親知らずを4本中3本抜歯した経験は、こちらの記事でも紹介しています。

このとき使われていたのは伝達麻酔でしたが、麻酔が切れ始めたタイミングは自分でもはっきり分かりました。痺れが引いてきたと思った途端、一気に痛みが襲ってきたのを覚えています(笑)

体感として、伝達麻酔もだいたい2〜3時間ほどで切れ始めた印象でした。歯科衛生士として現場で患者さんに説明している目安と、自分自身が患者になったときの実感がほぼ一致していたのは、印象に残っている経験です。


麻酔が切れるまで避けたいこと

麻酔が効いている間は、感覚が鈍くなっているため、次のようなことに気をつけたほうが安心です。

  • 熱いものを食べる・飲む(火傷に気づきにくいため)
  • ガムなど、繰り返し噛むもの
  • 飲酒(血行が良くなり出血しやすくなるため)
  • 激しい運動・長風呂(同じく血行が良くなるため)

正直なところ、僕の現場では「飲酒していいですか」「お風呂は?」といった質問を受けることはそこまで多くありません。ただ、抜歯後のケアと同じ考え方で、血行が良くなる行動は出血や腫れのリスクにつながるため、麻酔が切れるまでは控えておくのが無難です。抜歯後の具体的な注意点は、こちらの記事でも詳しく解説しています。


麻酔が切れるまでの食事の注意点

麻酔が効いている間は、頬や舌の感覚が鈍くなっているため、気づかないうちに噛んでしまうことがあります。

患者さんには「麻酔が切れるまでは、飲食するときに気をつけてくださいね」とお伝えするようにしています。実際のところ、「麻酔中に頬や舌を噛んでしまった」という相談は、現場の体感としてはそこまで多くありません。事前にひとこと伝えておくだけでも、未然に防げているのかもしれません。

噛み癖や、頬・舌を噛みやすい原因について詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。


子どもの麻酔で気をつけたいこと

お子さんの場合、大人以上に注意したいことがあります。

実際にあったケースとして、麻酔で痺れた唇の感覚が気になって、無意識に吸い続けてしまい、内出血のような跡(吸引性外傷)ができてしまったお子さんがいました。痛みを感じないぶん、大人よりも唇や頬を触ったり噛んだりしてしまいやすいのだと思います。

その時は保護者の方も「仕方ないね」と笑って受け止めてくださっていましたが、お子さんに麻酔を使った治療の後は、麻酔が切れるまで唇や頬を触っていないか、周りの大人が気にかけてあげると安心です。


麻酔が効きにくいと感じることもある

麻酔は誰にでも同じように効くわけではありません。

僕自身、体質的に麻酔が効きにくく、処置がなかなか進まなかった患者さんに立ち会った経験があります。炎症が強い部位では麻酔が効きにくくなることもあり、追加で麻酔を打つ場合もあります。

「麻酔が効いている気がしない」と感じたときは、我慢せずその場で歯科医師や歯科衛生士に伝えるようにしてください。追加の麻酔や対応を検討してもらえます。


全身麻酔という選択肢もある

ここまで紹介した麻酔は、意識がある状態で部分的に感覚をなくす「局所麻酔」です。それとは別に、意識を失わせる「全身麻酔」が使われるケースもあります。

僕自身がこれまで現場で見てきた範囲では、次のようなケースがありました。

  • インプラント手術で患者さんから希望があった場合
  • 歯科治療への恐怖心が強い患者さん
  • 顎の骨を骨折している患者さん

全身麻酔は麻酔科医の管理のもとで行われ、麻酔が完全に覚めるまで数時間の経過観察が必要になるなど、局所麻酔とは全く異なる考え方が必要です。全身麻酔を検討する場合は、必ず歯科医師とよく相談したうえで判断してください。


よくある質問(FAQ)

Q. 麻酔はどれくらいで切れますか?

A. 添付文書に明確な時間の記載はありませんが、現場の感覚としては浸潤麻酔・伝達麻酔ともに2〜3時間程度で痺れが和らぎ始める患者さんが多い印象です。個人差があるため、あくまで目安として捉えてください。

Q. 食事はいつから再開していいですか?

A. 麻酔が切れて、感覚が戻ってからの再開をおすすめします。感覚が鈍いまま食事をすると、頬や舌を噛んだり、熱いものでの火傷に気づきにくかったりするためです。

Q. 麻酔が切れるまでお酒やタバコは控えたほうがいいですか?

A. 現場でそこまで多く聞かれる質問ではありませんが、飲酒や喫煙は血行を良くする作用があるため、出血や腫れのリスクを考えると、麻酔が切れるまでは控えておくのが無難です。

Q. お風呂や運動はいつからいいですか?

A. 長風呂や激しい運動も血行を良くする行動なので、麻酔が切れるまではシャワー程度にとどめ、運動も控えめにしておくと安心です。

Q. 麻酔が長時間切れない場合はどうすればいいですか?

A. 麻酔の量や体質によって個人差はありますが、明らかに長く残っている、不安を感じる場合は、無理に自己判断せず歯科医院へ相談することをおすすめします。

Q. 子どもが麻酔中に唇や頬を噛んでしまうことはありますか?

A. あります。痺れた感覚が気になって、無意識に唇を吸ったり噛んだりしてしまい、内出血のような跡ができてしまうケースを実際に見たことがあります。麻酔が切れるまでは、周りの大人が見てあげると安心です。

Q. 麻酔が効きにくい人はいますか?

A. います。炎症が強い部位では麻酔が効きにくくなることがあり、体質的に効きにくい方もいます。効いていないと感じたら、我慢せずその場で伝えてください。

Q. 麻酔中に頬や舌を噛んでしまうことは多いですか?

A. 現場の体感としては、そこまで多い相談ではありません。事前に「麻酔が切れるまで気をつけてくださいね」と伝えておくことで、未然に防げているケースも多いのではないかと感じています。

Q. 表面麻酔だけで治療できることはありますか?

A. あります。例えば、ぐらついてすぐに抜けそうな乳歯の抜歯では、表面麻酔だけで対応することがあります。

Q. 伝達麻酔はどんなときに使われますか?

A. 下顎の奥歯は麻酔が効きにくい部位のため、親知らずの抜歯などで浸潤麻酔に加えて使われることがあります。僕自身も親知らず抜歯の際に伝達麻酔を受けた経験があります。


まとめ

  • 添付文書に麻酔の作用時間の明確な記載はなく、現場の経験則として目安を伝えている
  • 現場の感覚では、浸潤麻酔・伝達麻酔ともに2〜3時間程度で痺れが和らぎ始めることが多い
  • 表面麻酔=乳歯の脱落間近、浸潤麻酔=虫歯治療やSRP等、伝達麻酔=親知らず抜歯など、場面によって使い分けられている
  • 麻酔が切れるまでは、熱いもの・飲酒・激しい運動・長風呂は控えめに
  • 子どもは無意識に唇を吸ったり噛んだりしてしまうことがあるため注意が必要
  • 体質や炎症の程度によって、麻酔が効きにくいこともある

麻酔がいつ切れるかは、正直なところ個人差が大きく、断定的な答えはありません。それでも、現場で実際に見てきた感覚や、自分自身が患者として経験したことをもとに、少しでも不安が和らげば嬉しいです。


参考・引用