歯科衛生士の働き方給料・年収

歯科衛生士の年収は勤務先で変わる?|6つの職場タイプを比較解説

歯科衛生士の年収は勤務先で変わる?歯科医院・病院・企業など6つの職場タイプの年収や働き方の違いを比較・解説したブログアイキャッチ画像

「歯科衛生士の年収は、経験年数を重ねれば上がっていくもの」

そう思われがちですが、実は経験年数以上に「どこで働くか」によって年収は大きく変わります。

この記事では、日本歯科衛生士会の調査データをもとに、歯科衛生士の主な6つの勤務先タイプ別に年収分布を比較します。

歯科衛生士の勤務先、主な6タイプ

歯科衛生士が活躍する場は、歯科医院だけではありません。

  • 歯科医院
  • 病院・大学病院
  • 障害者歯科医院
  • 保健所・保健センター
  • 高齢者施設
  • 企業(商品開発・営業等)

それぞれ仕事内容も年収分布も異なります。一つずつ見ていきましょう。


勤務先タイプ別・年収分布データ

日本歯科衛生士会の「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」をもとに、年収分布を比較しました。

勤務先130〜300万円未満300〜400万円未満400〜500万円未満500万円以上
歯科医院約40%約39%約13%ほぼなし
病院・大学病院約26%約33%約20%約14%
障害者歯科医院約19%約39%約31%約5%
保健所・保健センター約25%約18%約16%約33%
高齢者施設約35%約47%約13%ほぼなし
企業(商品開発・営業等)約16%約13%約31%約38%

こうして並べてみると、最も身近な「歯科医院」は、実は年収500万円以上の層がほとんど見られないことが分かります。一方で、「企業」や「保健所・保健センター」は500万円以上の層が3割を超えており、勤務先による差がはっきり出ています。


「求人の見つけやすさ」と「年収」は反比例する

年収データだけを見ると「企業や保健所を目指した方がいいのでは」と思うかもしれません。しかし、年収が高い勤務先ほど、求人自体が極端に少ないという現実があります。

例えば保健所・保健センターについては、「求人が出るタイミングを待ちつつ、歯科クリニックや病院で勤務する人もいる」と言われるほど求人数が少ないとされています。年収分布データと求人の出やすさを掛け合わせると、次のような傾向が見えてきます。

勤務先求人の見つけやすさ年収のポテンシャル
歯科医院◎ 圧倒的に多い△ 500万円以上はほぼなし
高齢者施設○ 増加傾向△ 500万円以上はほぼなし
病院・大学病院△ やや少ない○ 500万円以上が約14%
障害者歯科医院△ やや少ない○ 400万円以上が約36%
企業(商品開発・営業等)× かなり少ない◎ 500万円以上が約38%
保健所・保健センター× かなり少ない(出るタイミングを待つ人もいるほど)◎ 500万円以上が約33%

つまり、「求人が見つけやすく、すぐに挑戦しやすい勤務先」と「年収の天井が高いが、狙って入るのが難しい勤務先」はトレードオフの関係にあるということです。企業や保健所を目指す場合は、歯科医院で臨床経験を積みながら、求人が出るタイミングを待つ、という戦略も現実的な選択肢になります。


それぞれの仕事内容

歯科医院

むし歯や歯周病の予防処置、歯科医師の処置補助が中心です。最も求人数が多く、身近な勤務先です。僕自身もこの歯科医院での勤務です。

病院・大学病院

歯科医院では対応が難しい抜歯処置の補助や、口腔内の腫瘍・外傷治療の補助などを行います。口腔外科や生活習慣病、感染症など、歯科以外の知識も求められます。

障害者歯科医院

重度の知的障害や自閉症、精神障害など、一般の歯科では対応が難しい患者さんに対応します。専門性の高さが求められる分野です。

保健所・保健センター

地域住民の歯科保健指導が中心です。保健所では企画立案、保健センターでは実際のサービス提供を担当します。500万円以上の層が3割を超えるなど、行政職ならではの安定した給与体系がうかがえます。

高齢者施設

利用者の誤嚥性肺炎を予防し、食事の質を維持・向上させることが主な業務です。高齢化にともない需要が伸びている分野です。

企業(商品開発・営業等)

歯科医院や病院への営業、予防歯科関連の商品開発などが中心です。患者さんではなく医療従事者や養成機関が顧客になる、他の勤務先とは異なる働き方です。6タイプの中で最も500万円以上の層が多い結果でした。


身近な範囲で見えること

ここまで6タイプの勤務先を紹介してきましたが、正直に言うと、僕自身の周りで実際にこれらへ転職した人はほとんどいません。周囲もほぼ一般の歯科医院勤務で、一般企業への転職を経験した僕自身も含めて、この6タイプの中で経験があるのは歯科医院だけです。

ただ、身近な範囲でよく見かけるのは、勤務先そのものを変えるのではなく、一般の歯科医院に勤めながら専門性を磨いていくケースです。実際に僕の周りにも、矯正歯科やインプラント専門の医院で働いている歯科衛生士や、臨床歯科麻酔認定歯科衛生士の資格を持って働いている歯科衛生士がいます。

つまり、6タイプという勤務先の枠を変えるよりも、同じ歯科医院という枠の中で専門分野を選ぶ方が、実際には身近で現実的な選択肢になっていると感じています。資格の種類については、こちらの記事でも紹介しています。

個人的には、6タイプの中では企業(商品開発・営業等)に少し興味があります。ただ、営業という業務内容には正直大変そうなイメージもあり、簡単に踏み出せる分野ではないとも感じています。

また、歯科衛生士は国家資格に年齢制限がないからこそ、50代・60代になったタイミングで訪問歯科に挑戦する、という将来の選択肢も個人的には考えています。今すぐの話ではありませんが、長く働き続けられる資格だからこそ、その時々のライフステージに合った勤務先を選べるのは、歯科衛生士という仕事の魅力の一つだと思っています。


年収だけで選ぶのは注意が必要

データだけを見ると「企業や保健所を目指した方がいいのでは」と思うかもしれません。ただし、これらの勤務先は求人数自体が少なく、臨床経験や専門知識が求められるケースも多いのが実情です。

歯科医院は年収の伸びしろが比較的小さく見えるデータですが、自費診療やインセンティブ制度のある医院を選べば、この分布以上の年収を目指すことも可能です。実際に僕自身も、自費診療を担当するようになったことで賞与が大きく伸びた経験があります。

経験年数による年収の変化については、こちらの記事も参考にしてください。


よくある質問(FAQ)

Q. 企業勤務の歯科衛生士になるには何が必要ですか?

A. 臨床経験に加えて、営業スキルや商品知識が求められることが多いです。求人数が少ないため、転職エージェントなどで情報収集することをおすすめします。

Q. 保健所勤務は公務員になりますか?

A. 多くの場合、地方公務員として採用されます。採用試験の実施や募集人数は自治体によって異なります。

Q. 歯科医院勤務でも年収500万円は目指せますか?

A. データ上は少数ですが、自費診療の割合が高い医院やインセンティブ制度のある医院、役職に就くことなどで目指せる水準になります。

Q. 障害者歯科医院で働くには専門資格が必要ですか?

A. 必須ではありませんが、障害者歯科の認定資格を取得しているとより専門性を活かしやすくなります。

Q. 高齢者施設と訪問歯科は同じですか?

A. 異なります。高齢者施設は施設に所属して勤務する形態、訪問歯科は歯科医院に所属しながら患者さん宅や施設へ出向く形態が一般的です。


まとめ

  • 年収は経験年数以上に、勤務先タイプによって差が出る
  • 企業・保健所は500万円以上の層が多いが、求人数は少ない
  • 歯科医院は求人数が多く身近だが、年収の分布は控えめ
  • 身近な範囲では、勤務先を変えるより専門性を磨く方が現実的な選択肢になりやすい
  • 歯科医院でも自費診療やインセンティブ制度次第で年収は伸ばせる

勤務先によって求められるスキルや働き方も大きく異なります。年収だけでなく、自分がどんな働き方をしたいかも含めて、勤務先選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。


参考・引用