歯科衛生士の働き方転職・キャリア

歯科衛生士の転職ロードマップ|辞める前に考えるべき6つのステップを歯科衛生士が解説

歯科衛生士の転職ロードマップとは?辞める前に考えるべき6つのステップ、求人票の見方、良い職場を見極める5つの基準を現役歯科衛生士が解説したブログアイキャッチ画像

「今の職場、辞めたほうがいいのかな」「転職したいけど、何から始めればいいか分からない」

歯科衛生士として働いていると、一度はこう感じたことがある人も多いと思います。

結論からいうと、転職で後悔しないために大切なのは、勢いで辞めることではなく、「何が嫌なのか」を整理してから動くことです。

僕自身、新卒時代にブラック寄りの医院で働き、一般企業(酒類配送)への転職を経験し、そこから歯科衛生士へ復職しました。この記事では、その実体験をもとに、転職を考えたときに歩む6つのステップを、公的データも交えながら解説します。

この記事は、転職を勧めるものでも、辞めることを勧めるものでもありません。自分が笑顔で長く働ける環境を見つけるための、一つの道しるべとして読んでもらえたら嬉しいです。

STEPやること
STEP1転職を考えたら最初にすること(何が嫌なのかを整理する)
STEP2自分に合う職場を考える
STEP3求人票を見る(面接で確認すべきことを決める)
STEP4見学・面接(職場の空気を観察する)
STEP5入職後(信頼を積み重ねる)
STEP6長く働くために(続ける理由を見失わない)

歯科衛生士の転職はどれくらい多い?公的データで見る実態

日本歯科衛生士会が実施した「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」(令和2年度)によると、歯科衛生士全体のうち転職経験があると回答した人は約8割(転職経験なしは22.2%)にのぼります。退職理由としては「出産・育児」(12.4%)、「結婚」(8.4%)、「職場の人間関係」(7.7%)が上位を占めています。

また、全国の歯科診療所数は67,899施設(全国のコンビニよりも多い)で、歯科衛生士の有効求人倍率は3.24倍(全産業平均1.13倍を大きく上回る)という水準です。つまり、歯科衛生士にとって転職先の選択肢自体は非常に多いというのが実態です。

転職すること自体は珍しいことでも、特別なことでもありません。大切なのは、どう転職と向き合うかです。


STEP1|転職を考えたら最初にすること

僕は新卒時代、いわゆるブラック寄りの医院で働いていました。残業代は出ず、有給も取りづらい環境でした。

ただ、「ブラックだから全部悪い」とは思っていません。基礎から丁寧に教育してくれた先輩には、今でも感謝しています。良い部分と悪い部分は、分けて考えるようにしています。

その後、一般企業(酒類配送など)へ転職した経験があるからこそ、歯科医院しか知らない人とは違う視点で、今の職場環境を比較できるようになりました。

えくうす
えくうす

体力的・精神的に「やばい」と思ったら、無理せず転職していい。ただし、貯金だけはしておけ。勢いで辞めるのではなく、辞めたあとの生活を支える準備をしてから動くこと。

それが今の自分から新卒時代の自分に伝えたいことです!

ブラック医院だと感じながら働いていた新卒時代の話は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

大切なのは、「辞めたい」という気持ちをそのまま行動に移すのではなく、何が嫌なのかを紙に書き出すなどして整理することです。人間関係なのか、給料なのか、労働時間なのか。原因が分かれば、転職以外の選択肢が見えてくることもあります。


STEP2|自分に合う職場を考える

僕が歯科衛生士へ戻ったきっかけは、新卒時代にお世話になった先輩から副業に誘われたことでした。

一般企業を経験したからこそ、歯科衛生士という仕事の魅力に改めて気づくことができました。

  • 患者さんから直接感謝される
  • 休憩がしっかり取れる
  • 残業が少ない
  • 一般企業より給料が良かった
  • 人として患者さんと接する仕事だと感じた

雨の日も雪の日も台風の日も、40℃近い炎天下でも外で働く一般企業の仕事を経験したからこそ、「どんな仕事でも、働いているだけでみんな偉い」という考え方を持つようになりました。歯科衛生士だけが素晴らしい仕事だとは思っていません。

一般企業を経験して分かった歯科衛生士という仕事の価値については、こちらの記事で詳しく書いています。

復職時に一番不安だったのは、実はブランクでした。しかし、一般企業で働いた経験によって、忍耐力と精神的な余裕が身についていたことに気づきました。技術よりも、人として成長できたことのほうが大きかったと感じています。ブランクがあっても復職できる理由については、こちらの記事もあわせて参考にしてください。

転職は、職業を変えることではなく、「自分に合う環境」を探すこと。これが、STEP2で一番伝えたいことです。


STEP3|求人票を見る

僕は、求人票の内容だけでは転職先を判断しません。求人票に書かれているのは条件の一部でしかなく、実際の働きやすさを左右する部分は、面接で確認しないと分からないことが多いからです。

面接で必ず確認したいのは、次のようなことです。

確認項目チェックする理由
DH業務はどこまで担当するか受付・雑務中心になっていないか
SRPは行うか専門性を発揮できる環境か
自費診療は担当するかスキルアップ・インセンティブに関わる
診療時間内に仕事が終わるか実質的な残業の有無
昇給基準頑張りが給料に反映される仕組みか
評価制度正当に評価される環境か
教育体制入職後に成長できる環境か

福利厚生や有給の取りやすさなど、求人票の表記だけでは分からないポイントについては、こちらの記事でも詳しく整理しています。

一人で全部を見極めるのが不安な場合は、歯科衛生士専門の転職エージェントを使うと、非公開の内部情報まで確認したうえで紹介してもらえます。実際に使ったサービスや求人サイトの比較については、こちらの記事でも紹介しています。

専任担当者に希望条件を伝えて探してもらいたい場合は、ファーストナビ歯科衛生士のような歯科衛生士特化の転職エージェントも選択肢の一つです。


STEP4|見学・面接

見学や面接で見るべきなのは、設備の新しさよりも、人や職場の空気だと感じています。

今の職場で「ここはいいな」と感じたのは、院長が「休憩前には上がれる人から上がって」と自然に声をかけてくれることでした。スタッフを大切にしている雰囲気があり、頑張った人をきちんと評価する文化があります。

良い職場かどうかを見極める基準として、僕は次の5つを大切にしています。

  • 院長がスタッフを大切にしている(自然な気遣いの声かけがあるか)
  • 頑張った人を評価する仕組みがある(昇給基準・評価制度・還元)
  • 信頼できる人間関係がある(怒鳴らない・無視しない・尊重し合う)
  • 思いやりのある教育がある(技術だけでなく人を育てる文化)
  • 経営が安定している(休みは多いほうがいいが、暇すぎる医院は逆に不安要素)

職場選びで後悔しないために転職して気づいたことは、こちらの記事にまとめています。


STEP5|入職後

新しい職場に入ったとき、以前の僕は人の評価ばかり気にしていました。

今は考え方が変わり、「信頼は待つものではなく、仕事への姿勢で勝ち取るもの」だと思っています。周囲が助けてくれるのは、期待してもらえているからです。新しい職場では、まず信頼を積み重ねることを意識しています。

えくうす
えくうす

昔は、怒られることが怖くて仕方ありませんでした。僕自身が怒られると気にしすぎる傾向にあります。発達障害グレーゾーンや後輩指導に関する本を読んで、考え方が大きく変わりました

今では「えくうすさんっていつも褒めてくれますよね」と言われるようになっています。教育は怒ることではなく、相手の成長を支えることだと考えています

傾聴力や後輩指導の考え方については、メンタルヘルス・マネジメント検定を通じて学んだ内容もこちらの記事で紹介しています。


STEP6|長く働くために

歯科衛生士を続けていて一番嬉しい瞬間は、クリーニングやTBI、定期健診を通じて、患者さんが歯磨きを頑張り、次回来院時に口腔内が改善していることです。患者さんが努力してくれた結果を、一緒に喜べる瞬間があるからこそ、この仕事を続けていて良かったと感じます。

患者さんとの向き合い方について、日頃大切にしていることはこちらの記事でも紹介しています。


よくある質問

Q. 歯科衛生士は何回くらい転職するのが普通ですか?

日本歯科衛生士会の調査では、転職経験がある歯科衛生士が約8割にのぼり、転職1回・2回・3回以上と、回数は人それぞれです。回数の多さよりも、転職ごとに何を学び、次にどう活かせたかのほうが大切だと感じています。

Q. ブラックだと感じたら、すぐ辞めるべきですか?

勢いで辞めるのはおすすめしません。何が嫌なのかを整理し、貯金など辞めたあとの備えをしたうえで動くことをおすすめします。ブラックな環境の中にも学べる部分があることも忘れないでください。

Q. 求人票だけで転職先を決めても大丈夫ですか?

おすすめしません。求人票には書ききれない情報(実際の業務範囲、評価制度、教育体制など)が多くあります。面接や見学で必ず確認することをおすすめします。

Q. ブランクがあっても歯科衛生士に復職できますか?

復職できます。僕自身、一般企業を経験したブランクがありましたが、技術面よりも忍耐力や精神的な余裕といった人としての成長が、復職後に役立ったと感じています。

Q. 一般企業への転職は歯科衛生士にとって「あり」ですか?

ありだと思います。僕自身、一般企業を経験したことで、歯科衛生士という仕事の価値や魅力に改めて気づくことができました。どの仕事にも優劣はなく、経験は必ずどこかで活きます。

Q. 転職エージェントは使ったほうがいいですか?

一人で求人票の細部まで見極めるのが不安な場合は、歯科衛生士専門の転職エージェントを利用すると、非公開求人や内部情報まで確認したうえで紹介してもらえるので安心です。

円満に退職するコツはありますか?

円満退職の伝え方や、引き止められたときの考え方、僕自身の4回の退職経験については、こちらの記事で詳しくまとめています。


まとめ|どんな仕事でも、働いている人は偉い

どんな仕事でも、働いている人は偉い。僕はそう思っています。

だから、歯科衛生士を続けることも、転職することも、一般企業へ行くことも、正解・不正解ではありません。

一番大切なのは、自分が笑顔で長く働ける環境を見つけることです。この記事が、そのための一つの道しるべになれば嬉しいです。


参考・引用