一度歯科業界を離れた僕ですが、今は歯科衛生士に戻って良かったと思っています。
結論から言うと、歯科衛生士という国家資格の本当の価値は、一度外に出てみないと分からないと感じています。
専門学校卒業後、歯科衛生士として2つの医院で働きましたが、当時の環境になじめず、どちらも退職しています。その後は一般企業へ転職し、フォークリフト・事務、お酒の配送など、複数の仕事を経験しました。そして現在は再び歯科衛生士として働いています。
今回は、一度業界を離れた僕だからこそ感じた「歯科衛生士という仕事の価値」と、収入や働き方のリアルについて、当時と今の比較を交えてお話しします。
一般企業時代と今、何が変わったか【早見表】
まず結論として、一般企業時代と現在の歯科衛生士としての働き方を比較します。
| 比較項目 | 一般企業時代 | 現在(歯科衛生士) |
|---|---|---|
| 年収 | 約300万円 | 約400万円(ボーナス込み) |
| 勤務時間 | 6時半出社、20時頃退社の日もあった | 8:40〜18:00 |
| 昼休憩 | 取れない日もあった | 13:00〜14:30でしっかり確保 |
| 有給 | 人手不足で取りづらい雰囲気 | 年間休日130日以上 |
| 資格の汎用性 | 職種によって経験が活かしにくい | 国家資格、全国どこでも通用 |
| ブランク後の復帰 | 職歴によっては不利になることも | 資格があれば復帰しやすい |

- 一般企業を経験したから、資格の価値が数字でも比較できた
- 年収は上がり、拘束時間・体力的負担は下がった
- ただし職場による差は大きく、これは「今の職場」での実感
歯科衛生士は本当に「潰しが効く」資格なのか
「歯科衛生士は潰しが効く」とはよく言われますが、実際にはどうなのか、公的データで確認してみます。
厚生労働省の資料によると、歯科衛生士の免許を持つ人は全国で約30万人いる一方、実際に就業しているのは約14万人にとどまります。つまり免許を持ちながら働いていない人が約16万人いるということです。同じ資料では、7割の都道府県が「歯科衛生士が不足している」と回答しています。
この2つの数字が意味するのは、ブランクがあっても資格さえ持っていれば復帰の受け皿が全国的に存在するということです。一般企業の場合、職種によっては同じ理屈が成り立ちません。僕がフォークリフトや酒類配送の仕事で得たスキルは、その業界の中でしか通用しない部分が大きいものでした。
もちろん、免許があるからといって希望条件どおりの職場がすぐ見つかるとは限りません。ただ、「資格自体が価値を失う」ことがない点は、一般企業を経験したからこそ、はっきり比較できました。
歯科衛生士を辞めた理由
まず最初にお伝えしたいのは、僕は歯科衛生士という仕事そのものが嫌だったわけではないということです。
患者さんと関わることや予防処置は好きでしたし、やりがいも感じていました。
実は歯科衛生士としての退職は一度ではなく、新卒で入った医院と、その後スカウトで転職した2件目の医院、合わせて2回経験しています。理由はそれぞれ違いますが、どちらも当時の職場環境に自分がついていけなかったことが根底にありました。
今振り返ると、嫌だったのは仕事ではなく職場環境だったのかもしれません。
新卒時代の失敗経験はこちらの記事に、4回の退職すべての詳しい経緯はこちらの記事にまとめています。
一般企業へ転職して感じたこと
当時の僕は、「一般企業の方が将来的に稼げるのではないか」と考えていました。
若かったこともあり、給料ばかりを見ていた時期だったと思います。

正直、20代の頃は「もっと稼げる仕事があるはず」と思っていました。
そこで歯科業界を離れ、一般企業へ転職しました。最初に就いたのは、フォークリフトと事務を兼務する仕事です。
フォークリフト・倉庫事務の仕事
この仕事は約1年ほど続けました。仕事自体は嫌いではありませんでしたが、給料の伸びや将来性について不安を感じることがありました。
また、人手不足で有給を取りづらい雰囲気もありました。一般企業に行けば有給が取りやすいと思っていた僕にとっては、少し意外な現実でした。
ここでも上司に自分の考えを相談し、円満に退職させてもらいました。
職業訓練を経て、お酒の配送の仕事へ
その後、職業訓練校に通い簿記3級を取得したのち、お酒の配送の仕事に就きました。
この仕事は大変でしたが、楽しい部分もありました。
- 筋力がついた
- 運転が上達した
- お酒に詳しくなった
- 飲食店とのつながりができた
今でも当時配送していたお店へ食事に行くことがあります。
ただ、仕事はかなりハードでした。
- 朝6時半頃に出社
- 帰宅は20時頃になることもある
- 昼休憩を取れない日もある
- 運転しながらおにぎりを食べることもあった
- 夏は暑く冬は寒い
- ぎっくり腰を経験
- 年末は発熱しても出勤
その中で感じたのは、「この仕事を10年後、20年後も続けられるだろうか」という不安でした。
一般企業時代の収入は約300万円だった
当時の年収は300万円ほどでした。
もちろん会社による差はありますが、残業や拘束時間を考えると、「実際の時給はそこまで高くないかも…」と感じることもありました。
この経験があったからこそ、後で歯科衛生士に戻った時に、資格職としての強みをより強く実感することになります。
一般企業を経験して気づいた歯科衛生士の価値
一般企業を経験して感じた歯科衛生士の強み
- 国家資格である
- 全国どこでも働ける
- ブランクがあっても復帰しやすい
- 経験が無駄にならない
- パート時給も比較的高く、スポット勤務もしやすい
- 患者さんから直接感謝される
一般企業を経験して初めて気付いたことがあります。それは、歯科衛生士という資格の価値です。
歯科衛生士は決して楽な仕事ではありません。勉強も必要ですし、責任もあります。それでも、国家資格として長く働けることや、経験が資産になることは大きな魅力だと感じています。
実際、僕自身も5年ほどブランクがありましたが、お酒の配送の仕事を続けながら副業で歯科医院に関わるようになり、そこで「歯科衛生士をまたやりたい」と自分から伝えたことがきっかけで、正社員のオファーをいただき現場に戻ることができました(笑)
また、患者さんから直接「ありがとう」と言っていただける機会があることも、この仕事ならではの魅力です。もちろん感謝だけで生活はできません。給料や休日も大切です。それでも、人から感謝される仕事は決して多くありません。
30代になった今は、給料だけではなく、休日や働きやすさ、将来性、身体への負担なども含めて仕事を見るようになりました。僕自身の給料明細をこちらの記事でまとめています。
もし今、職場環境に悩んでいる歯科衛生士さんがいるなら、まずは他の職場の求人条件を比較してみるのもおすすめです。「今の職場が普通なのか、それとも恵まれているのか」を知るだけでも判断材料になります。
今の職場で感じるありがたさ
一度業界を離れたからこそ、今の環境のありがたさを強く感じています。
現在の勤務時間は8:40〜18:00くらいです。昼休憩は13:00〜14:30までしっかりあり、残業もほとんどありません。土曜日は少し時短勤務、日曜日も5時間ほどの勤務なので、拘束時間に対しての満足度はかなり高いです。
現在の職場は年間休日130日以上あります。また、院長先生が余裕を持った人員配置をしてくださっているため、誰かが休んでも医院が回る環境があります。一度人手不足の現場を経験したからこそ、このありがたさを強く感じています。
さらに、冷暖房が整った環境で働けることも今では当たり前ではないと感じています。外仕事を経験した今だからこそ、働く環境の大切さがよく分かります。
現在は残業代を含めなくても手取り約24万円。ボーナスも年2回支給されており、年収ではボーナス込みで約400万円ほどになります。
もちろん職場によって差はありますが、昔の自分が思っていた以上に歯科衛生士という資格は価値のあるものだったと感じています。
人間関係について、正直なところ
歯科医院は人数が少ないことも多く、人間関係の距離感が近い職場です。
僕自身、業務自体は好きだったのですが、昔はそういった狭い人間関係が苦手で、一度業界を離れた理由の一つでもありました。ここは一般企業にはなかったストレスで、正直に書いておきたいと思います。
もちろん、どんな職場でも多少の人間関係の悩みはあります。歯科医院だから特別大変というより、「結局は職場次第」というのが正直な感想です。
女社会ならではの空気感もありますが、個人的にはうまく立ち回ることも大事かなと思っています(笑) 今の職場では、表立った大きなトラブルもなく、比較的人間関係は良好です。
逆に言うと、人との距離感を一定に保ちたいタイプの人にとっては、少人数の歯科医院より、一般企業の方が働きやすいケースもあると思います。
ワークライフバランスと副業の両立
個人的には、歯科衛生士はワークライフバランスを取りやすい職業だと感じています。
もちろん医院によって差はありますが、一般企業と比べると、比較的安定した働き方をしやすい印象です。今の職場は本業で消耗しすぎないので、副業やブログを続ける体力も残っています。
実際、僕はハノワというスポット勤務サービスで副業をしていますが、こちらも本業に無理のない範囲で続けられています。
本業・副業・ブログを無理なく両立できているのは、かなりありがたい環境だと感じています。また、僕は昔力仕事をしていたこともあり、体力面では比較的恵まれているとも感じています(笑)
こんな人は一度、資格を活かすことを考えてほしい
ここまでの内容を踏まえて、状況別に考えてほしいことをまとめます。
- 今の職場の人間関係で辞めたいと考えている人:仕事そのものが嫌なのか、職場環境が合わないだけなのかを一度切り分けてみてください。転職や職場変更で解決することもあります
- ブランクがあり復帰を迷っている人:資格がある以上、復帰の受け皿は全国的にあります。復職支援制度がある医院も増えているので、まずは求人条件を確認してみてください
- 一般企業への転職を検討している人:給料だけでなく、拘束時間・有給の取りやすさ・体力的な負担も含めて比較することをおすすめします
ブランクからの復帰については、こちらの記事でも詳しくまとめています。
よくある質問
Q. 歯科衛生士を辞めて後悔していませんか?
A. 後悔はしていません。一般企業を経験したからこそ、歯科衛生士という国家資格の価値に気付くことができました。ただ、当時の自分に伝えられるなら「辞める前に職場を変える選択肢も考えてほしい」とは思っています。
Q. 一般企業から歯科衛生士に戻るのは難しかったですか?
A. 国家資格なので、ブランクがあっても復帰しやすかったです。僕の場合は副業として関わり始めたことが、正社員として戻るきっかけになりました。
Q. ブランクがあっても歯科衛生士に復帰できますか?
A. 僕自身、5年ほどのブランクを経て現場に復帰しています。医院によっては復職支援やブランク明けの研修を設けているところもあるので、まずは求人条件を確認してみることをおすすめします。
Q. 一般企業と歯科衛生士、給料はどちらが高いですか?
A. 一概には言えませんが、僕の場合、一般企業時代の年収は約300万円、現在は残業代を含めずボーナス込みで約400万円です。拘束時間や身体的な負担まで含めて考えると、歯科衛生士の方が割に合うと感じています。
Q. 辞めた歯科医院に戻ることはできますか?
A. 僕自身は以前と同じ医院に戻ったわけではなく、副業として関わった別の医院で正社員のオファーをいただきました。円満退職していれば元の医院に戻れるケースもありますが、無理に同じ職場にこだわる必要はないと思っています。
Q. 歯科衛生士に向いていないと感じたらどうすればいいですか?
A. 仕事内容そのものが嫌なのか、職場環境が合わないだけなのかを一度切り分けて考えてみてください。僕の場合は後者でした。転職や職場変更で解決することもあります。
Q. 転職を繰り返すことに抵抗はありませんでしたか?
A. 正直、当時は不安もありました。ただ振り返ると、それぞれの経験が今の自分の強みになっています。焦って一つの職場に無理に留まるより、合わないと感じたら次を探す方が長期的には良かったと感じています。
まとめ
- 嫌だったのは仕事ではなく職場環境だった
- 一般企業にも多くの学びがあった
- 厚労省データでも、歯科衛生士は資格を持つ人の半分以上しか就業しておらず、復帰の受け皿は全国的にある
- 経験は無駄にならず復帰もしやすい
- 職場選び次第でワークライフバランスも収入も安定する
- 患者さんから感謝される価値ある仕事だと感じている
もし過去の自分に一言伝えるなら、
「歯科衛生士を辞める前に、職場を変えるという選択肢も考えてみろ」
そう伝えたいです。
今、人間関係や職場環境で悩んでいる歯科衛生士さんがいるなら、仕事そのものを嫌いになる前に一度立ち止まって考えてみてください。もしかすると、変えるべきなのは職業ではなく環境かもしれません。
参考・引用
厚生労働省「歯科衛生士に対する復職支援・離職防止等推進事業」(令和2年衛生行政報告例をもとにした資料):https://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl/r05_jigyou05a_day1.pdf







