歯科衛生士の働き方転職・キャリア

歯科衛生士不足は本当?現役DHが感じる人材不足の正体

歯科衛生士不足は本当?潜在歯科衛生士や求人倍率22.6倍、人が集まる歯科医院の共通点を解説するアイキャッチ画像

「歯科衛生士不足」という言葉を耳にしたことはありませんか?

求人サイトやニュースでもよく取り上げられており、実際に歯科医院の求人を見ても歯科衛生士を募集している医院は数多くあります。

現役の歯科衛生士として働いている僕自身も、人手不足を感じる場面はあります。

ただ、現場で働いていると「単純に歯科衛生士の人数が足りない」というだけでは説明できない部分もあるように感じています。

今回は現役歯科衛生士として感じる「歯科衛生士不足の正体」についてお話しします。

ネットでは歯科衛生士不足と言われている

実際に歯科衛生士は求人倍率が高い職業として知られています。歯科衛生士の求人倍率は令和4年時点で22.6倍という調査結果もあり、平成21年度以降ずっと増加傾向が続いています。

歯科医院の数は全国に多く存在し、予防歯科の重要性が高まる中で歯科衛生士の需要も年々増えています。

また、出産や育児などのライフイベントによって現場を離れる方も少なくありません。

そのため、多くの歯科医院が歯科衛生士の採用に苦労していると言われています。


実際にハノワで働いて感じた人手不足

僕は現在の職場以外にも、単発勤務サービスのハノワを利用してさまざまな歯科医院で働いた経験があります。

その中には、人手不足を強く感じる医院もありました。

  • 常勤歯科衛生士が少ない
  • 単発スタッフで現場を回している
  • 一人でリコール患者さんを担当する

実際に働いてみると、歯科衛生士不足という言葉が現実に存在していることを感じます。

詳しくはこちらの記事でもまとめています。


ただ、歯科衛生士不足というより「人材不足」ではないかとも感じる

ここからは僕個人の考えです。

もちろん歯科衛生士不足は事実だと思います。

ただ、現場で働いていると単純な人数不足だけではないようにも感じます。

実は、この感覚を裏付けるようなデータがあります。歯科衛生士の免許登録者数は約30万人いる一方、実際に働いているのは約14万人(約46.6%)にとどまるという厚生労働省の報告です。つまり、資格を持ちながら現場で働いていない「潜在歯科衛生士」が半数以上、約16万人いることになります。

さらに、厚生労働省が令和7年に開催した「歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討会」でも、資格取得者数・就業者数は増加しているのに「足りない」という声がある一方、実際の需給や必要数の分析は十分に行われていないと指摘されています。「歯科衛生士不足」という言葉が、感覚的に語られやすいテーマだということが、行政の検討会でも認められているわけです。

この状況を受けて、東京医科歯科大学や各都道府県の歯科医師会、日本歯科衛生士会などが復職支援の研修会や相談会を実施しています。ブランクがあって現場に戻ることに不安がある方向けに、実技研修から就職相談まで対応しているプログラムもあります。もし「資格はあるけど戻る自信がない」という方がいれば、こうした支援を活用してみるのも一つの方法です。復職について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

今は求人サイトや転職サービスも充実しています。

働く側は職場を選びやすくなりました。

給与や休日、人間関係、働き方などを比較して転職することも珍しくありません。実際に求人サイトを比較した経験については、こちらの記事でもまとめています。

つまり、歯科衛生士が足りないというよりも「人材が定着しない」「せっかくの資格が活かされていない」という問題も大きいのではないかと思っています。


人が集まる医院には共通点があるように感じる

現在の勤務先は比較的人数が多い歯科医院です。

もちろん忙しいですし、人手不足を感じる日が全くないわけではありません。

それでも、人が集まる医院には共通点があるように感じています。

評価される仕組みがある

どれだけ頑張っても評価されなければモチベーションは続きません。

給与だけではなく、頑張った分が見える仕組みは大切だと思います。

教育体制がある

新卒を採用しても、教える人がいなければ育ちません。

現場で経験を積んだ先輩が中心となり、新人を支える仕組みも重要だと思います。

採用や組織づくりに力を入れている

人材不足を解決するためには求人を出すだけでは足りません。

採用活動や職場環境づくりにも力を入れる必要があります。

院長一人で全てを抱えるのではなく、組織として人材確保に取り組むことも大切なのかもしれません。


採用だけでは解決しないと思う理由

歯科衛生士不足の解決策として「採用」が注目されがちです。

もちろん採用は重要です。

ただ、それだけでは十分ではないと思います。

定着する環境が必要

せっかく採用しても辞めてしまえば意味がありません。

働きやすい環境づくりは非常に大切です。

育てる仕組みが必要

経験者だけを採用し続けるのにも限界があります。

新卒や若手を育てる環境が必要です。

評価される仕組みが必要

仕事量や責任が増えても評価されなければ長く働き続けることは難しくなります。

人材不足というより、人材が定着する仕組みづくりが重要なのかもしれません。


現役DHとして思うこと

正直に言うと、患者さんが多い医院は忙しいです。

予約が埋まっている日が続くと疲れることもあります。

ただ、僕個人としては暇な医院より安心感があります。

患者さんが来てくれるからこそ医院は成り立ちます。

売上があるから設備投資や人材投資もできます。

そして、それがスタッフへ還元されることにもつながります。

医療職ではありますが、そうした視点も大切だと感じています。

もし今、職場に人手不足を感じていたり、ブランクから復職を考えていたりする方がいるなら、まずは求人サイトで条件を比較してみるのもおすすめです。「辞めたい」と感じている場合の考え方は、こちらの記事でもまとめています。


よくある質問

Q. 潜在歯科衛生士とは何ですか?

A. 免許を持ちながら歯科医院等で働いていない歯科衛生士のことです。厚生労働省のデータでは、免許登録者約30万人のうち実際に働いているのは約14万人(約46.6%)にとどまり、半数以上が潜在歯科衛生士にあたります。

Q. 求人倍率が高いのに「落ちる人」がいるのはなぜですか?

A. 求人倍率が高くても、勤務地・給与条件・スキルのミスマッチなどで不採用になるケースはあります。人数が足りない=誰でも採用される、というわけではないのが実情です。

Q. ブランクがあっても復職できますか?

A. 東京医科歯科大学や各都道府県の歯科医師会、日本歯科衛生士会などが復職支援の研修会・相談会を実施しています。実技研修から就職相談まで対応しているプログラムもあるので、まずは調べてみることをおすすめします。

Q. 人が集まる医院とそうでない医院の違いは何ですか?

A. 評価される仕組み・教育体制・採用や組織づくりへの投資、この3つが大きいと感じています。給与だけでなく、頑張りが見える仕組みや育成体制が定着率に影響します。


まとめ

  • 歯科衛生士不足は確かに存在するが、単純な人数不足だけでは説明できない
  • 免許保有者の半数以上、約16万人が現場で働いていない「潜在歯科衛生士」
  • 厚労省の検討会でも「不足」の実態や必要数の分析は不十分と指摘されている
  • 人が集まる医院には、評価される仕組み・教育体制・組織的な採用への投資という共通点がある

歯科衛生士不足というより、人材が定着する仕組みづくりがこれからますます重要になるのではないかと感じています。関連する体験談はこちらもあわせてご覧ください。


参考・引用