歯医者で、
- 「歯石がついていますね」
- 「歯石を取りましょう」
と言われたことはありませんか?
しかし、
- そもそも歯石って何?
- なぜ歯石ができるの?
- 放置するとどうなるの?
と疑問に思う方も多いでしょう。
歯石は見た目の問題だけではなく、歯ぐきの炎症や歯周病にも関係します。
この記事では現役歯科衛生士の視点から、歯石ができる原因や放置するリスク、予防方法についてわかりやすく解説します。

歯石とは?
歯石とは、歯の表面に付着した歯垢(プラーク)が硬くなったものです。
歯垢は細菌のかたまりで、磨き残しがあると少しずつ蓄積していきます。
そして唾液に含まれるカルシウムやリンなどの成分によって硬くなり、歯石へと変化します。
一度歯石になると、通常の歯磨きでは取り除くことができません。
歯石はなぜできる?
歯石の原因は、主に磨き残した歯垢です。
歯垢は歯磨き後でも24時間以内に付着し始めると言われています。
さらに磨き残しが続くと、早ければ48〜72時間程度で歯石化が始まることがあります。
そのため、
- 歯磨きが不十分
- フロスを使っていない
- 歯並びが複雑
- 唾液の分泌量が少ない体質
- 定期検診を受けていない
といった場合は歯石がつきやすくなります。
また、「毎日磨いている」と「しっかり磨けている」は必ずしも同じではありません。
実際の診療でも、毎日歯磨きをしている方でも磨き残しが原因で歯石がついているケースは珍しくありません。
歯石がつきやすい場所
歯石はどこにでも同じようにつくわけではありません。
特に歯石がつきやすい場所は次の2か所です。
- 下の前歯の裏側
- 上の奥歯の頬側
これらの場所は唾液腺の出口が近く、唾液中のミネラルが付着しやすいためです。
定期検診でも、この部分に歯石がついている方は非常に多く見られます。
歯石を放置するとどうなる?
歯ぐきが腫れやすくなる
歯石の表面はザラザラしています。
そのため新たな歯垢が付着しやすくなり、歯ぐきに炎症が起こりやすくなります。
歯周病のリスクが高まる
歯石そのものが歯を溶かすわけではありません。
しかし細菌が増えやすい環境を作るため、歯周病のリスクを高めます。
歯周病が進行すると、歯を支える骨が減ってしまうこともあります。公益財団法人8020推進財団の調査(2018年)によると、歯を失う原因の第1位は歯周病で37.1%を占めています。歯石を放置することが、遠回りに歯を失うリスクにつながっているとも言えます。
口臭の原因になることも
歯石の周囲には細菌が集まりやすいため、口臭の原因になることがあります。
歯磨きをしても口臭が気になる場合は、歯石が関係している可能性もあります。
歯石は歯磨きで取れる?
残念ながら、一度できた歯石は歯磨きでは取れません。
歯ブラシで強くこすっても歯石は取れず、歯や歯ぐきを傷つけてしまう可能性があります。
歯石を除去するには、歯科医院で専用の器具を使ったクリーニングが必要です。処置が1回で終わらず、複数回に分けて行われることもあります。その理由については、こちらの記事で詳しく解説しています。
歯石を予防する方法
毎日の歯磨きを丁寧に行う
歯石を予防するためには、まず歯垢をためないことが重要です。
毎日の歯磨きを丁寧に行いましょう。
フロスや歯間ブラシを使う
歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れを完全に落とすことはできません。歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークの約半分程度しか落とせないとも言われています。
フロスや歯間ブラシを併用することで、歯石の原因となる歯垢を減らすことができます。それぞれの違いや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
定期検診を受ける
歯石は少しずつ蓄積していきます。
そのため、定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。一般的には3〜6ヶ月に一度のペースが目安とされていますが、歯石がたまりやすい方はもう少し短い間隔をすすめられることもあります。ご自身に合った頻度については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
僕自身、歯科衛生士として働く中で30年以上歯科医院を受診していなかった方を担当したことがあります。
歯石が歯の表面を覆うように付着しており、まるで壁のような状態でした。
ここまでになるケースは珍しいですが、歯石は放置するほど蓄積しやすくなります。
定期的なクリーニングは、お口の健康を守るために大切です。久しぶりの受診に不安を感じている方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
歯石は自分で取ることができますか?
歯石は硬く歯に強固に付着しているため、市販の器具や爪、歯ブラシで自己流に取ろうとすると、歯の表面や歯ぐきを傷つけてしまう可能性があります。安全に除去するためには、歯科医院で専用の器具を使ってもらうことをおすすめします。
歯石取りは痛いですか?
歯ぐきに炎症がない状態であれば、基本的に痛みはほとんど感じません。ただし歯周病が進んで歯ぐきが腫れている場合や、歯周ポケットの深い部分の歯石を取る場合は、しみるような感覚や痛みを伴うことがあります。
歯石取りの後に歯がしみるのはなぜですか?
歯石が長期間付着していた部分は、歯石そのものが覆っていたことで一時的にしみにくくなっていることがあります。歯石を除去すると本来の歯の表面が露出するため、数日〜1週間程度、一時的にしみやすくなるケースがあります。多くは自然に落ち着きますが、長引く場合は歯科医院に相談してください。
歯石はどのくらいの頻度で取ればいいですか?
一般的には3〜6ヶ月に一度が目安とされていますが、歯並びや唾液の性質、歯磨きの癖によって歯石のつきやすさには個人差があります。定期検診の際に、自分に合ったペースを歯科衛生士に相談するのがおすすめです。
子どもにも歯石はできますか?
子どもでも歯磨きが不十分だと歯石がつくことがあります。特に乳歯は永久歯より歯垢がつきやすい傾向があるため、仕上げ磨きや定期検診で早めにチェックすることが大切です。
歯石を取ると歯がすり減りませんか?
歯科医院で使用する超音波スケーラーやハンドスケーラーは、歯石だけを狙って除去するように設計されており、正しく使用すれば健康な歯質を大きく削ることはありません。むしろ歯石を放置する方が、歯ぐきや骨へのダメージという点でリスクが大きくなります。
まとめ
歯石は歯垢が硬くなったもので、一度できると歯磨きでは取ることができません。
また、歯石は細菌が集まりやすい環境を作るため、歯肉炎や歯周病、口臭の原因になることがあります。
毎日の歯磨きやフロス、歯間ブラシで歯垢をためないこと、そして定期的に歯科医院でチェックを受けることが大切です。
「最近歯医者に行っていないな」という方は、この機会に一度お口の状態を確認してみてはいかがでしょうか。
参考・引用
- 歯ブラシによるプラーク除去率・フロスの重要性:日本歯科医師会「歯の学校」なぜ?なに?歯医者さん
- 歯周病と歯を失う原因の関係:公益財団法人8020推進財団「歯を失ってしまう原因と対策」





