朝起きたときに、こんな症状はありませんか?
- 顎がだるい・疲れている
- 歯がしみることがある
- 詰め物や被せ物がよく取れる
- 肩こりや頭痛がある
もしかするとそれは、歯ぎしりや食いしばりが原因かもしれません。
この記事では、歯科衛生士の視点から解説していきます。
歯ぎしりと食いしばりの違い
似ているようで少し違いがあります。
- 歯ぎしり:ギリギリと音を立てて歯をこすり合わせる(主に睡眠中)
- 食いしばり:音は出さず、強く噛みしめる(昼夜問わず起こる)
実際の現場では、音が出ない食いしばりの方が気づかれにくい印象があります。
セルフチェックリスト|1つでも当てはまったら要注意
自分では気づきにくいのが歯ぎしり・食いしばりの特徴です。以下のうち、1つでも当てはまるものがあれば可能性があります。
- 口を閉じたときに、上下の歯が普段からくっついている
- 舌の横側に歯の跡(歯型)がついている
- 頬の内側を噛んでしまうことがある、噛み跡がある
- 朝起きたときに顎が疲れている
- 詰め物や被せ物、仮歯がよく取れる
- 虫歯や歯周病がないのに知覚過敏がある
- 家族に歯ぎしりを指摘されたことがある
僕自身、診療中に患者さんのお口を拝見していて頬の内側や舌のフチにスジ・跡がある方は、無意識の食いしばりが強い傾向があると感じています。ご本人に自覚がないケースも多いので、定期検診で歯科衛生士や歯科医師に見てもらうのも一つの方法です。
頬や舌を噛んでしまうことが増えたと感じる方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
歯ぎしり・食いしばりの主な原因
- ストレス
- 噛み合わせ
- 生活習慣(スマホ・姿勢)
- 集中しているときのクセ
特に見落とされがちなのが姿勢です。
スマホや前かがみの姿勢が続くと、首や肩の筋肉が緊張し、
顎まわりの筋肉にも影響して無意識に噛みしめやすくなります。
僕自身も首や肩のこりを感じることがあり、姿勢の大切さを実感しています。
放置するとどうなる?
- 歯のすり減り
- 知覚過敏
- 詰め物・被せ物が取れやすくなる
- 歯周病の悪化
- 顎関節の不調
気づかないうちに進行してしまうのが特徴です。
すでに歯がしみる症状がある方は、こちらもあわせてご覧ください。
詰め物がよく取れて困っている方は、こちらの記事も参考にしてください。
歯科医院でできる対策
ナイトガード(マウスピース)
就寝中に装着し、歯や被せ物を守るための装置です。
顎関節症の診断がついている場合は保険適用で作製できることが多く、費用の目安は4,000〜5,000円前後です(医院や地域により異なります)。まず検討されることが多い、身近な対策方法です。
噛み合わせの調整(咬合調整)
噛み合わせのバランスを整えることで、特定の歯にかかる負担を軽減することがあります。
状態によっては、ナイトガードとあわせて検討されることもあります。
ボトックス治療(咬筋ボツリヌス)
筋肉の力をやわらげることで、食いしばりの力を軽減する方法です。
僕の歯科医院では、まずはナイトガードで歯を守ることを大切にしていますが、
それでも食いしばりが強い方には、ボトックスという選択肢をご提案することもあります。この治療は保険適用外(自費診療)となるため、無理にすすめることはせず、患者さんの状態やご希望に合わせてお話しするようにしています。
※効果は一時的であり、医師の判断のもと行われる治療です。
自分でできる対策
- 歯と歯を離す意識を持つ(TCH改善)
- 姿勢を整える
- スマホの位置を上げる
- リラックスする時間を作る
歯と歯は、本来くっついていない状態が自然です。
気づいたときに力を抜くだけでも、負担を減らすことができます。
現場で意識していること
診療中、僕は患者さんに
「もう少し上に上がってこれますか?」とお声がけすることがあります。
これは見やすさだけでなく、お互いの姿勢を整えるためでもあります。
また、首や肩に不調がある方にはタオルを敷いて、
少しでも楽な姿勢で治療を受けていただけるよう心がけています。
姿勢が整うことで、無意識の力みがやわらぐこともあります。
よくある質問
ナイトガードは毎晩つけないといけませんか?
効果を維持するためには、できるだけ毎晩使うことが推奨されています。慣れるまで違和感がありますが、数日〜数週間で慣れる方がほとんどです。
歯ぎしり・食いしばりは完全に治りますか?
完全に「治す」というよりも、原因にアプローチしながらうまくコントロールしていく、という考え方が現実的です。ストレスの軽減や生活習慣の改善、ナイトガードの使用で症状の緩和が期待できます。
痛みがないので放置しても大丈夫ですか?
歯ぎしり・食いしばりは痛みが出にくい分、気づかないうちに歯がすり減っていることがあります。症状がなくても、定期検診でチェックしてもらうことをおすすめします。
ナイトガードは市販品でも代用できますか?
市販品もありますが、歯型に合っていないと逆に噛み合わせを崩す可能性があります。歯科医院でオーダーメイドしたものの方が、フィット感・耐久性ともに安心です。
子どもにも歯ぎしり・食いしばりはありますか?
お子さんの歯ぎしりも珍しくありません。多くは成長過程で自然に落ち着くことが多いですが、頻度や強さが気になる場合は歯科医院で相談してみてください。
咬合調整をすると噛み合わせが悪くなることはありませんか?
歯科医師が慎重に診断・調整を行うため、基本的にはリスクの少ない方法です。ただし削る量はわずかなので、不安な場合は事前によく相談しておくと安心です。
まとめ
- 歯ぎしり・食いしばりはストレスだけでなく姿勢・生活習慣も関係する:無意識のクセだからこそ気づきにくい
- セルフチェックで1つでも当てはまれば要注意:頬・舌の跡や詰め物の外れやすさがサイン
- 放置すると歯や顎関節への負担が進行する:痛みが出にくいため気づかないうちに悪化しやすい
- 対策はナイトガードから自分でできる工夫まで幅広い:違和感がある方は無理せず歯科医院で相談を
参考・引用
- セルフチェック項目:博報堂健康保険組合「70%の人が無意識に経験している『歯ぎしり』・『食いしばり』」
- スプリント(ナイトガード)の適応・診断基準:公益社団法人日本補綴歯科学会「顎関節症・歯ぎしりに対する口腔内装置(スプリント)の指針」





